■ 『会社を守る就業規則のつくり方』
就業規則の整備が必要な時代になってきました。ちょっとしたことでも、書くことで選択の幅が広がったり、書いていないことで不利益を生じたりすることがあります。今回は、『会社を守る就業規則のつくり方』(中経出版)から歯科医院でも、気をつけるべきテーマ2題を選んでみました。
◎ 試用期間を延長する旨の規定が定められているか
試用期間を3ヶ月と定めていても、常勤にするにはもう少し様子をみたい、ということがないでしょうか?試用期間延長に関しては、就業規則にその旨の規定があり、合理的な理由がある場合に限り、延長することができます。
慎重に雇用を考えたいという歯科医院には、ぜひおススメです。ただ、いつまでも試用期間であれば、スタッフも身分が不安定になります。雇用時に試用期間の延長があるかもしれないということ、もしかするとその期間が長期になるかもしれない(最長1年以内)ことは、伝えておくべきでしょう。
●就業規則-サンプル-
(試用期間)
第○条 歯科医院は、新たに採用したスタッフについて3ヶ月の試用期間を設ける。但し、歯科医院が試用期間を置く必要がないと判断した場合は、ただちに本採用とすることができる。
2.スタッフとして適格性があると判断した場合は、試用期間満了後に本採用とし、適格性がないと判断した場合は試用期間中又は試用期間満了時に解雇する。
3.試用期間14日を超えた後に解雇する場合は、法令に定められた解雇手続きによるものとする。
4.試用期間中にスタッフとしての適格性が判断できなかったときは、3ヶ月を限度として試用期間を延長することがある。
◎ 変形労働時間制で労働時間の有効活用を図っているか
労働基準法では、労働時間は1日8時間、1週間40時間と決められています。
ただ、歯科医院のように保健衛生業を営み、従業員が10人未満の場合には、1週間の労働時間は、1週間44時間までは認められています。ただ、このときも、法律上は1日の労働時間は8時間以内でなくては、法律違反です。
たとえば、就業時間が月~金(木曜日は休み)8時30分~19時(休憩90分) 土は~18時(休憩90分)の歯科医院の場合、1週間の労働時間は44時間ですが、1日9時間の曜日が4日あります。この9時間は労働基準法違反となり、通常は8時間を越える時間は、時間外手当の対象となります。
そこで、登場するのが「変形労働時間制」です。変形労働時間には4つのタイプがあります。そのうち、歯科医院で採用するのは「1ヶ月単位の変形労働時間制」です。1ヶ月単位の変形労働時間制とは、1ヶ月を平均して、1週間の労働時間が44時間以内であれば、1日8時間を越えて労働させることができるという制度です。
ただ、この「1ヶ月単位の変形労働時間制」を導入するには、就業規則(スタッフが10人未満であれば、就業規則に準ずるもの)にその旨を規定する必要があります。
ハローワークに求人票を提出する際、当院が「1ヶ月単位の変形労働時間制」を採用している旨を言わないと、求人を受け付けてくれないことがあります。また、「労働基準監督署へ届け出ていますか?」と、訳のわからないことを聞く担当者が時にいます。この「1ヶ月単位の変形労働時間制」は、院内で就業規則に定めるだけでよく、労基署に届け出る必要はありません。訳のわからないこという担当者がいましたら、その方に「もっと勉強してください」と言うか、弊社までご連絡ください。
●就業規則-サンプル-
(変形労働時間)
第○条 労働時間は、毎月1日を起算日とする1ヶ月単位の変形労働時間制によるものとする。労働時間は次の通りとする。
月~金(木を除く) 8時30分~19時(休憩90分)
土 8時30分~18時(休憩90分)
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>(*^_^*)b < 編集後記 ♪♪♪
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新聞に、中医協の歯科側の代表が2人から1人になる旨の記事が載っていまし
た。「自己責任」ということばが言われて久しいですが、やはり「自己責任」な
のです。
坪島秀樹 拝